36 コラム&エッセイ(3)「遺影写真」

 
今回、課題作文のテーマは、「私の生きがい」。
あなたの生きがいは、何でしょう?

この時、私は74歳。
人生の転機に立っていました。
私の生きがい、とは…。

テーマを頂いたことで、
改めて、自分を見つめ直して、書きました。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

❮私の生きがい❯
                            遺影写真

  ここに一枚の遺影写真がある。水色のジャンパー姿で微笑んでいる女性。六十五歳の私だ。ボランティア服を選んだのは、最も自分らしく輝いている姿だからであった。
    六十歳の時、横浜みなと博物館で展示案内のボランティアを始めた。私の趣味は、船旅。国内外の島巡りをした経験が生かせる。私にびったりな活動に、心が弾んだ。
    しかし、それは甘かった。お客様はありとあらゆる質問をしてくる。研修したことを覚えるだけではダメだ。もっと勉強しなければ。それからは、出身地や興味に合わせ、話す内容を変えてみた。お客様の表情が変わり、楽しんでいるのがわかる。こちらも嬉しくなった。自分でも気付かぬうちに、ボランティアは、私の生きがいになっていった。
   もうじき、私は七十五歳になる。三枚目の遺影写真の予約をした。三月にボランティアを辞め、淋しさはあるが、今の自分らしい姿を写真に残そう。相棒の車椅子と共に…。

                                  2024年11月16日

❮講評❯
○構成はできていると思います。起こしの「遺影写真」の話を、最後にまた持ってきているのは良いですね。新しい生きがいを見つけましょう。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

2年前、私は変形性股関節症で歩けなくなって、
車椅子生活が始まったの。
原因不明の腹痛もあって、医者通いの私。

それまで10年間、ボランティアをしてきたけど、
もう、続けるわけには行かない。
やむなく、第二のリタイアをした私。
心がぽっかり空いたような感じで、
毎日をどう過ごしていいか、わからず、
ぼんやり過ごしていたわ。

遺影写真は、思い立って、
65歳の誕生日に、初めて写真館で撮影したの。
いつ死んでも、残された人が困らないようにネ。

それから5年後、70歳の誕生日に、
また、遺影写真を撮ることにしたの。
若い顔では、実情にそぐわないと思って。
賞味期限は、5年、かな?
今度は、フォーマルな服装にしてみたわ。

写真の出来上がりを見て、思ったんだ。
アレ?やっぱり、老けたなぁ…私。
5年という歳月は、確実に、変化が見える。

  ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

誕生日と言えば、私は、もともと、
その日に人間ドックに行くと決めていて、
若い頃から、数年おきに検査してたのね。
作文に書いた遺影写真の後、
いつものように、人間ドックに入ったの。

年明けに、結果が出て、
子宮体部がんの疑い!だって…。

いやぁ~、ちょっと、びっくりしたけど、
まだ、癌と決まったわけではない。
取りあえずは、
検査入院して、よく調べることに。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

そんな頃、時を同じくして、
港の辺りが騒がしくなったの。
覚えている?6年前。

横浜港に、クルーズ船
ダイアモンドプリンセス号が入港し、
コロナウィルスに感染した乗客がいたと、
世の中は、てんやわんやの騒ぎをしたじゃない?

そして、あっという間に、
巷にコロナが広がって、
毎日、毎日、TVが感染者数を発表してたよね。

私が入院する予定の病院も、
コロナ患者が入っていて、
動線がきっちり分けられるようになったの。
私は、病院に行くのが怖くなって、
担当医に言ったの。
半年後に伸ばしてほしい、って。
だって、癌とは決まってないから、
急ぐ必要もない訳だし。

なんだか、かんだと言って、
検査をためらっていたけど、先生に言われたの。
もう、伸ばせません、と。

手術は、もっと大きな病院ですることになり、
コロナ真っ最中の秋、ついに、手術したの。
過ぎてみれば、あっという間。
ジタバタした私が馬鹿だった。
癌の手術は早い方が良いのだ。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

遺影写真は、私の覚悟。
いつ死んでもいいですよ、と。

でも、遺影写真を撮るようになったら、
なかなか、死にそうにもない。
むしろ、病気を乗り越えて来た。
子宮体部癌に始まり、
変形性股関節症、
急性虫垂炎、
大腸癌、と。

2つの癌は、ステージ1とステージ0。
早期の癌なので、
腹腔鏡手術をすることができて良かったわ。
手術こそが最大の治療で、
その後、何の投薬もなく、経過観察のみ。
幸いなことに、
子宮体部癌は5年満期で、卒業となったの。
後は、近くのクリニックで血液検査するだけ。

つくづく思うの。
なんて、私はラッキーなの!
早期に発見できて、ホント良かったわ。

❮教訓❯
やっぱり、人間ドックは、やっておくべきね。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

次回の課題は、
「コミュニケーションで大切なこと」。
それは、なんだと思う?
これは、みんな同じようなこと、思うわ。
と、したら、
自分なりのアピール性が必要になってくる。
エピソードの見つけ方が、鍵かしら?


                                     by   ころりん

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